ECサイト改善コンサルティング事例
BtoB向けに自社製品のみを取り扱うECサイトの改善コンサルティングを行いました。
お客様は以下のような課題を抱えており、弊社が解決をサポートしました。
- ECサイトが使いにくいが、どこが問題なのか具体的にわからない
- 改善方法がわからない
- ある時点からオーガニック流入が激減し、不安を感じている
- サイトの可能性やあるべき方向性が定められない
- SEOの知見がなく、Web集客の方法がわからない
- 業界ではメーカーとして認知度が高いものの、従来の販路依存に危機感を持っている
このECサイトの商品はすべて自社製品で、単価は数十万~数百万円の高額商品。
顧客の大半は法人でした。
そこで弊社は、以下のポイントに沿って具体的な改善を行いました。
サイトの現状分析
Google Analytics(GA4含む)を用いて、流入経路やCV経路、トレンドを分析しました。
また、Google Search Consoleで流入クエリや検索結果での表示、CTRの推移を把握しました。
さらに、マーケットや時勢の状況をヒアリングし、サイトデータの推移を多角的に評価しました。

結果として、流入の半分がオーガニック検索、もう半分がコーポレートサイトからの導線であることがわかりました。
したがって、SEO対策だけでなく、コーポレートサイト自体の流入増加や導線改善も重要であることが判明しました。
また、オーガニック流入減少の原因は、CMS移行時にリダイレクト設定が抜け落ち、旧ページがすべて404になったことでした。これによりGoogleの評価がリセットされ、SEO順位が大幅に下落していました。
さらに、主要顧客がWindowsユーザーであるにもかかわらず、Windowsに標準搭載されていない「ヒラギノ」フォントを使用していたため、意図せずUIを悪化させていたことも判明しました。
競合分析とサイトの方向性の決定
SEOの観点では、売上に直結・関連する、または競合が上位表示しているクエリに注力し、コンテンツを整備することが重要です。
Google Search Consoleのデータをもとに、クライアントのビジネスに直結するクエリを選定し、競合分析を行いました。

しかし関連クエリの検索ボリュームは100〜200程度と少なく、
仮に1位を取っても流入数が限られることが明らかになりました。
そのため、SEOコンテンツ制作にリソースを投下するよりも、
サイトのUI改善に注力し、来訪した確度の高い顧客の体験を向上させる方針としました。
※BtoBビジネスでは検索ボリュームが少ないケースも多く、SEOで上位表示しても費用対効果が低い場合があります。
一方、商品単価が非常に高い場合はSEO投資が有効なケースもあり、状況に応じた判断が重要です。
ヒートマップ分析と改善施策
Microsoft Clarityなどのヒートマップを導入し、ユーザーがどのような行動を取っているかを分析しました。

分析の結果、メインビジュアルの一部バナーがほとんどクリックされていないことが判明。
そこでバナーをリデザインし、ABテストを実施して改善しました。
また、左サイドバーのメニューも利用率が低く、
ユーザーにとって使いにくいUIであることが明らかになったため、
ユーザー目線で整理し直し、より使いやすいデザインに変更しました。
売り手自身がユーザー目線で自社サイトを評価するのは難しいため、
弊社が第三者視点で改善点を洗い出し、施策に落とし込みました。
コンテンツ改善
アクセス解析の結果、確度の高い顧客が既存の「商品の選び方コンテンツ」に関心を持っていることがわかりました。
そこで当該コンテンツを改善し、CTAクリック率の向上に貢献しました。
- 課題点:文章量が少ない
- カテゴリごとのメリット・デメリットが不明瞭
- CTAリンク先が不適切
- CTAへの誘導が不親切
- デザインが暗く印象が悪い
- 構造がわかりにくい
既存コンテンツは売り手目線でセールス色が強く、顧客にとって参考になりにくいものでした。
そのため、訪問しても行動せず離脱するケースが多く、機会損失となっていました。
改善後は、CTAやUI導線の見直し、デザインの刷新、顧客目線の構成へ変更。
これによりCVR向上を実現しました。
成果検証
改善施策の効果を定量的に検証しました。
SEO施策ではSearch Consoleや順位取得ツールで順位変動を確認し、
サイト改善ではGA4で流入分析を実施しました。

またヒートマップを用いてユーザー行動の変化を分析し、成果を検証しました。
改善結果
メインビジュアルをリデザインした結果、バナーのクリック率が大幅に向上しました。
バナーとリンク先ではフラッグシップモデルを訴求し、
すぐに購入に至らなくても高確度ユーザーへのアウェアネス獲得に成功しました。
また、ターゲットクエリは以前2ページ目(13〜15位)に位置していましたが、
改善後半年で1位を獲得しました。