Webデザインと通じる「体験の設計」
展示会の設計には、Webデザインと通じる部分があります。
人の動線を考え、情報を整理し、限られた時間で印象を残す。
通路の角度、光の強さ、言葉の置き方。それらは、Webサイトの導線設計と同じように「人の体験」を中心に考えます。
しかし、現場に立つと気づきます。展示会には、Webにはない「空気」があります。
人の息づかいや声のトーン、視線の交わり。そのひとつひとつが会話を生み、関係をつくっていく。
展示会とは、人が動き、人が出会う場所なのです。
人と人が交わる「場」をデザインする
展示会の本質は、情報発信ではなく「関係づくり」にあります。
立ち止まる視線、名刺を差し出す瞬間、短い会話の余韻。
そこにあるのは、数字ではなく記憶に残る体験です。
Webが「伝える場」なら、展示会は「感じる場」。
信頼は情報ではなく、空気から生まれる。私たちはそう考えています。
タッチポイントを積み重ねていく
展示会では、通路の照明も、パンフレットの紙質も、すべてが体験の一部になります。
小さな要素の積み重ねが、最終的にブランドの印象を形づけます。
Webでいえばクリックやスクロールの流れにあたるのが、展示会では歩く速度や立ち位置の変化です。
どちらも「人の動き」を前提に設計されますが、リアルな空間には「偶然の出会い」があります。
その予期せぬ瞬間こそが、展示会デザインならではの魅力です。
例えば、パンフレットやパネルに環境配慮型のLIMEX紙(石灰石を主原料とした新素材)をご提案することもあります。
素材そのものが「持続可能性を体現するデザイン」となり、ブース全体の印象を高めます。
こうした一つひとつの設計が、単なる装飾ではなく、企業のブランド価値や社会的メッセージを伝える力へとつながっていきます。
成果をどう定義するか
展示会の設計で大切なのは、最初に「何を成果とするか」を決めることです。
来場者数を成果とするのか、それとも「話をしてみたい」と思ってもらうことを成果とするのか。
私たちは、「その後の関係が生まれること」こそ展示会の成果だと考えています。
実際に、お問い合わせや商談促進につながる設計を意識することで、展示会は一過性のイベントから、企業の信頼づくりの場へと変わります。
だからこそ、ブース設計の初期段階から「関係のデザイン」を組み込みます。
遠くても怖くないマネジメント
そしてもうひとつ、大切にしているのが現場のマネジメントです。
海外の展示会では、デザインだけでなく、施工・納期・通訳・素材調達など、想定外の課題が多く発生します。
Alt Design Officeでは、日本企業が安心して海外に出展できるよう、日本語で完結できる進行管理と品質保証体制を整えています。
日本から直接ご発注いただく場合でも、現地スタッフと日本人ディレクターが一体となって対応し、
「遠くても怖くない」マネジメントを実現しています。
リアルな現場での信頼こそ、私たちがデザイン以上に大切にしている価値です。
Webとリアルをつなぐ体験として
展示会で感じた印象を後日Webで再確認する。
あるいは、Webで知ったブランドを展示会で「実感」する。
その往復があることで、体験は深く、記憶は長く残ります。
Webと展示会は別々の領域ではなく、一人の来場者が歩む一つのストーリー。
その流れをどこまで設計できるか。それが、いま求められているデザインの役割だと感じています。
デジタルとリアルのあいだにある「人の動き」を設計する
私たちは、空間とWebの両方を設計してきた経験から、「人が動く仕組み」をデザインの中心に置いています。
Webの領域では、上場DX企業のパートナーとともに、訪問者をお問い合わせや商談へと導く最適化デザインを研究・実践してきました。その過程で、「どのような体験が人を動かすのか」という問いに向き合い、データの裏にある「気持ちの流れ」を見つめてきました。
数日前からは、協業パートナーと連携し、展示会場にAIカメラを設置して来場者の動きを分析する取り組みも進めています。オーガナイザーの課題に寄り添い、動線や滞在時間を可視化することで、会場全体の体験設計に活かしていく予定です。
デジタルとリアル、どちらの領域にも通じる私たちだからこそ、
数字では測れない感情の動きをデザインに変えることができます。
そして、体験を設計することで、信頼と成果をつなぐ空間を生み出しています。
Alt Design Officeとして
私たちは、デザインを「人が動くための仕組み」として捉えています。
展示会やイベント、Webサイトをひとつの体験としてつなげ、ブランドが“生きて届く”瞬間を設計します。
官公庁主催のパビリオンから、民間企業の1ブースまで。
Alt Design Officeは、規模や目的に応じた展示会の企画・デザイン・施工・運営を一貫して対応しています。
来場者の動きやブランドの見せ方を最適化し、信頼と成果につながる体験を設計します。
私たちの仕事は、「作って終わり」ではありません。
2016年からタイを拠点に培ってきたスタッフらの大規模施工や国際展示の経験を活かし、空間の運営・改善・分析までを視野に入れた設計を行います。
つくるだけで終わらない。
ブランドの価値が続いていくブースを、安心と確かな実績で支えます。
私たちは、「納得のいく仕事を、適正な価格で」を大切にしています。
デザインの質と運営の効率を両立し、無理のないコストで最大の成果を生み出す。
その積み重ねが、長く信頼されるパートナーシップにつながると信じています。
リアルとデジタルのあいだで、ブランドの本質をどう伝えるかを、一緒に考えていくこと。
それが、私たちの仕事です。
直近の弊社事例(2025年度分 一部抜粋)
JETRO主催:国際スタートアップ ピッチイベント「Sushi Pitch」